株式投資はポートフォリオが重要になる!作り方のコツや用語も紹介
中長期の株式投資をする上で絶対に必要になってくるのがポートフォリオです。
ですが株式投資初心者の方は、そもそもポートフォリオがどのようなものかをご存じないこともあるでしょう。
そこで今回は投資初心者に向けて、ポートフォリオの必要性や作り方のコツ、株式投資のリスクやポートフォリオを組む上で活用できるサービスなどについて紹介します。
この記事を読むことで、株のポートフォリオのイロハがわかるようになります。
株のポートフォリオとは
ポートフィリオの本来の意味は、紙ばさみや書類入れという意味です。欧米では昔から資産の明細を保管するのに紙ばさみを利用していたことに由来する呼び名になります。
そして株のポートフォリオとは運用する金融資産の組み合わせのことです。株式や債券、そのほかの金融商品はそれぞれ金融資産としての特性が異なるので、目的に合わせて資産配分や資産運用の方向性を決めます。
なぜ株のポートフォリオを組む必要があるのか
本来であれば保有金融資産全体の組み合わせを指すポートフォリオですが、資産を株式や債券に限定し、その中の組み合わせから運用傾向を見る際にも使用されます。
では具体的に株式投資でポートフォリオを組む目的は何なのでしょうか。
積立額の見込みを立てるため
投資において重要なことは、リスクとリターンのバランスです。
例えば新興企業の株式などを中心にハイリスクハイリターンな運用をおこなうのか、十分に成熟した企業の株へ投資し手堅い運用を目指すのかでは、期待する結果は自ずと異なります。
つまり資産を積み立てていく中で、どれくらいのリスクを見込みリターンを取るのかのバランスを考える上で、ポートフォリオを組むことは重要なのです。
また、今後ライフステージが変わっていく中で資産運用の目的も許容できるリスクも変わってくることもあり得ます。
中長期の株式投資を考えているのであればまずはポートフォリオを組み、資産運用の積立見込みや見直しがすぐに出来る様にしておくことが重要です。
リスクの分散
投資の世界には「卵を1つのカゴに盛るな」という格言がありますが、投資で最も大切なことはリスクを分散させることで、「分散投資」が基本であるとされます。
分散投資は、銘柄や時期、国や通貨など分散させる軸を多様にする方法が推奨されており、同じ銘柄でも買う時期を変えたり、日本株だけでなく海外株も組み入れるなど分散の方法は様々です。
同じカゴに卵を入れる=同じ投資先に資産を集中すると、そのカゴを落としてしまう=暴落した時に全てを失うことになります。
投資の世界では、金融商品の価値は様々なものの影響を受けながら絶えず変化していますので、時と場合によっては損をすることはある種当たり前です。
以降投資が不可能になる程の損失を出したり、挽回するまでに長い期間が必要とならない様に投資先を分散し、他の投資先で損失を挽回できる様にしておくことが重要となります。
ほかの金融商品と比較した株式投資のリスクとリターン
本来の意味でのポートフォリオは、株式投資だけでなく債権や投資信託・外貨の他、銀行預金なども含んだ組み合わせを指すものです。
そういった金融商品の中で、株式投資はどの様な特徴があるのでしょうか?
株式投資はハイリスクハイリターン
株式投資では、株価が2倍になった銘柄をダブルバガー、3倍をトリプルバガー、10倍はテンバガーと呼びますが、それだけ値動きが激しく大きなリターンを得られる可能性も秘めています。
それ以外にも配当金や株主優待といった特典がある反面、大きく損をしてしまったり、最悪の場合は株式の価値がゼロになってしまうこともあるリスクの高い投資方法です。
その他の投資で言えば、預貯金や債券投資などはローリスク・ローリターン型、外貨預金や投資信託はミドルリスク・ミドルリターン型と言われています。
株式投資は不動産投資やFXと並んで値動きの大きい、ハイリスク・ハイリターンな金融資産なのです。
株式投資の3つのリスク
では、株式投資が持つリスクには、どの様なものがあるのでしょうか。
具体的には次の3つのリスクが株式投資のリスクです。
- 株価の下落
- 流動性(好きな時に売買できない)
- 企業の倒産
それぞれのリスクは具体的にどのようなものなのでしょうか。
株価の値下がり
株価はその企業の業績や期待値、噂話や市場全体の景気動向などに影響され決まるので、定価がありません。
そのため上昇も下落もするため、売買のタイミング次第で利益が出ることも損失が出ることもあります。
どんな優良企業や超大手企業でも大きく値下がりし戻ってこないことはザラですし、新進気鋭の成長企業であっても、株価が上がらないまま景気の波にのまれて低迷するということも有り得るのです。
株式投資の値上がりした際の利益(リターン)と値下がりした際の損失のリスクは、その他の金融商品では考えられない程大きいと言わざるを得ません。
企業の倒産
株式投資とは企業が発行する株式を購入すること、言い換えればその企業にお金を預けている状態です。
お金を預けた状態でその企業が倒産してしまうとその企業が発行している株式にも価値がなくなります。
値上がりを期待して投資しても、企業の経営状態が上手くいかず経営や財務状況が悪化して倒産することもあり得ることです。
投資先の企業が倒産してしまうと、投資したお金もほぼ戻ってくることはありません。
近年の例でいえば2010年1月にJALが2兆3000億円の負債を抱えて事実上倒産したように、倒産のリスクはどんな大企業でも起こりうるのです。
株式の流動性
株式売買は、売り手と買い手が揃って初めて成立します。
東証1部上場の誰もが知る有名企業の株式の様に、毎日の取引量量が多ければ好きな時にその時の相場で売買することが可能です。
ですが取引量が少ない銘柄だと、売りたくても売れず買いたい時に買えない「流動性リスク」を考慮する必要が出てきます。
取引量が極端に少ないと相場や希望価格より低い価格でしか売れない、あるいは買い手がまったくいないので売ることができないということも十分にあり得ることです。
株のポートフォリオを組む際の注意点
他の金融資産に比べてリスクもリターンも大きな株式投資のポートフォリオを組む際は、よりリスクを考慮して組む必要が有ります。
では具体的にどの様な点に注意してポートフォリオを組めばいいのでしょうか?
分散投資は管理できる範囲で
卵の格言からもわかる通り、株式投資の基本は分散投資です。
リスクをなるべく分散させるには数多くの銘柄に資金を分散させると良いと考えがちですが、実際は分散させすぎると運用成績のチェックなど管理が難しくなります。
過度な分散はむしろリスクを高めることに繋がってしまいますので、避けた方が良いでしょう。
分散投資によるリスク分散効果は、おおよそ10銘柄に分散すれば十分得られると言われており、ある程度の銘柄に厳選して投資する方法が効果的です。
投資先の業界の選定
投資先の業界を選ぶうえで、重要なのがその業界がどの様な特徴を持っているのかを知ることです。
例えば電気ガス水道などのインフラ業界や鉄道業界は昔から業績が安定した業界といわれており、不景気でも株価は安定しやすい傾向にあります。
逆に鉄鋼業や自動車業界は景気の波をより大きく受けるので、景気が良い時期に他の銘柄よりも大きな利益を見込める業界です。
その他では、例えば製薬業界は新薬の開発など今後の業績に直結するであろうニュースの内容次第で、景気の波とは関係なく急に値動きが起こる業界と言えます。
そうした業界の中から自分が求める投資スタイルに合致する投資先を選定し、選定することがポートフィリオを組む上でまず注意すべきポイントです。
投資カテゴリを分ける
業界選びで重要なことは、投資先同士があまり関連性のない業界に分けて選ぶことです。
例えば現在IT業界は急成長を遂げていますが、その勢いが永久に続くわけではありませんので値下がりし、ITに関連する電子部品業界やITインフラ業界も同じように下がるでしょう。
現在や近未来に値上がりが見込めるからと言って同じ業界や関連の高い業界の中から10銘柄選んでしまうと、業界全体の動向や景気を同じように受けてしまいまい、分散投資の意味合いが薄くなります。
もし現在値上がりしている業界に投資するのであれば、その業界とは関連性が無い業界への投資も同様に視野に入れましょう。
投資カテゴリごとに個別の銘柄を選定
投資すべき業界が明確になったら、ようやくその中から個別の銘柄を選定する段階に入ります。
不景気に強い業界・好景気により値上がりが見込める業界など業界全体の特徴はありますが、その業界全ての銘柄が同じような動き方をするとは限りません。
例えば株式発行が多い大企業の株は値動きが比較的緩やかで、中堅~小規模な企業の株の方が値動きが早い場合が多く、同じ業界の企業でも影響が出る時期に差は出てきます。
また、業界全体の傾向とは真逆の値動きをする様な銘柄も存在しますので、そうした個別の銘柄の中から、自分がこれはと心に決めたものを選定しましょう。
銘柄の動きが異なる様に絞り込む
候補となる銘柄を絞り込んだら、次は別の業界からなど動きが異なる銘柄を選定していきましょう。
業界が違っても、結果として似たような動きをする銘柄を複数保有してしまうと、分散投資の意味合いが有りません。また同じ業界で値動きの傾向が違う銘柄であっても、今後業界全体が暴落する様な事が有れば同じように値下がりする可能性もゼロではありません。
万が一に備えるためにも、動きが異なる銘柄を業界を分けて選択しておきましょう。
定期的に損益をチェックする
企業の業績や業界を取り巻く状況は刻一刻と変化していきます。そのため株価の動きや傾向もポートフィリオを組んだ時とは変わってしまうのが当然です。
組んだ段階では理想通りのポートフォリオであっても、時間が経過すると利益を生まないばかりか、リターンよりもリスクが大きくなっているという場合があります。
ポートフィリオは定期的に見直し、現在も当初の目標に沿ったものであるのかをチェックし続けましょう。
ポートフォリオのタイプ(商品バランス)
ポートフォリオを組むにあたって、リスクとリターンのバランスをどの様に見込むのかは運用に直結する要素です。
そうしたリスクとリターンのバランスから、ポートフォリオは大まかに3つの運用タイプに分けられます。
安定タイプ
目標の利回り(リターン)が3%未満を目指す運用は、一般的に安定タイプと呼ばれる運用となります。大きなリターン見込みよりもあまりリスクを取りたくない場合に有効です。
銘柄としてはインフラ業界や鉄道業界かつ大企業であるなど、景気の波をあまり受けない業界の中でもさらに安定した銘柄中心の選定となるでしょう。
スタンダードタイプ
目標利回りが3%以上で5%未満の場合は、一般的にスタンダードな運用と言われるスタイルです。
この場合、たとえば安定した業界の銘柄とやや値動きの大きな銘柄を組み合わせてリスクとリターンのバランスを図りながら、安定運用タイプよりやや積極的にリターンを見込む運用と言えます。
積極運用タイプ
目標利回りが5%以上の運用は、一般的に積極運用なポートフォリオです。
値動きの大きな業界や景気の影響を大きく受ける業界、新興企業などの銘柄を選ぶことで大きなリターンを見込めつつも値下がりのリスクも相応に負うことになります。
あくまで5%以上を積極運用としていますが、5%以上と言っても6%なのか10%以上なのかで全く異なるので、あくまで目安です。
年5%以上と聞くとハイリターンと言うには少ないように思えますが、年利7%の利益で全て運用資金に回す複利運用の場合、10年で元本の約2倍となります。
株のポートフォリオの事例
例えば約3割を工業ハイテク分野に、4割をインフラ業界に、3割を金融業界になど、リスクの割合も値動きも異なる業界から銘柄を選定し組み合わせることでバランスの良いポートフォリオとなるでしょう。
また、国内株式だけでなく債券や外国株を組み合わせるなどすれば、より多様性のある投資先となるので、リスク分散やリターンを考える上で株式+その他金融資産という選択肢も有ります。
株のポートフォリオを組むのにおすすめのサービス
ポートフォリオを作成するにあたって、投資する銘柄が増えれば増えるほど運用成績の評価や見直しは難しくなります。
しかし、既存のサービスを活用することで、手間をかけずにリスクを抑えた投資を実現することは可能です。
例えばロボアドサービスは銘柄選定にAIを活用できるサービスで、ポートフォリオの提案までをワンストップで行うアルパカロボというサービスも存在します。
株式関連の情報発信も毎日行っているので、ロボアドサービスを使えばポートフォリオの見直しタイミングを見逃さずに済むでしょう。
また口座全体を預けて運用、見直しを一任するファンドラップというサービスも存在します。
こちらはロボアドサービスとは異なり銘柄の提案サービスではなく運用一任なので、手間をかけずに投資をしたい方には適したサービスです。
その他お金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談する方法などもあるので、こうしたサービスや専門家の助言を有効に活用すると良いでしょう。
まとめ
株式は金融資産の中でもリスクの高い投資ですので、失敗して早々に投資を辞めてしまう方が後を絶ちません。
そしてその多くの場合は、リスク分散ができずに致命的な損失を被り、挽回するチャンスが無いまま退場を余儀なくされるケースなのです。
ポートフォリオを組み、業界や銘柄の特色を分散させることはこうした一発退場を無くし、挽回するチャンスを何度でも作ることに繋がります。